日本の鍋文化、
その一角を担う国民食

おでん

野菜、魚、肉、豆腐などを煮立て、食卓で取り分けて食べる料理「鍋」。日本の冬の風物詩であり、バランスの良い栄養食でもある。具材とスープの組み合わせは無限にあり、地方のソウルフードになっている鍋料理もある。
だし汁で大根、卵、こんにゃくなどの具材を煮込む「おでん」は鍋のバリエーションの一つ。秋冬にはコンビニエンスストアでも販売され、国民食として愛されている。濃口醤油の黒いだし汁、具材に生姜のタレをつけるなど、地域によって特色が強く、家庭によってもアレンジが異なる。多様性が最大の魅力だ。

だし汁に旨味を加え、
味を深める
「練り物」

魚のすり身の加工食品「練り物」はおでんに欠かせない。煮込むと旨味が染み出し、だし汁を奥行きのある味に変えるのだ。日本海に面した島根県は豊かな漁場に恵まれ、地域ごとに個性豊かな練り物がおでんに加えられている。

出雲国大社食品の練り物は心地よい弾力と繊細な味が特徴。タラ類やタイ類をベースに、季節によってトビウオやレンコダイなど地魚も加える。そのままでも美味だが、おでんに使うと豊潤さが増す。きつね色に焼き上げるトビウオ入りの「ちくわ」、魚肉と豆腐を練って揚げた「豆腐揚げ」、シャキシャキとした「ごぼう天」など、一つ一つが主役級。食感や味の違いを楽しんでもらいたい。